エンジンは4年前に載せ替え済み、3年ぶりの試航海にも関わらずなかなか快調なエンジン音、35人乗り遊覧船の十分な空間。
毎年検査をクリアした十分な設備、人柄の良いオーナー。
毎年検査をクリアした十分な設備、人柄の良いオーナー。
条件的にはいいはずなのに何故か踏ん切りがつかない。
あー、なんでだろう。
なんとなく感じるこの船の人と暮らす船ではない、という気質のせいか。
喫水が浅く、水面よりかなり高い位置に投げ出さざるを得ない視点、背をかがめなくても済むキャビン(というか客室)、合理的で無感情なFRPの肌触り、一人ではとても埋められない死角空間。
こりゃあただでさえ孤独な場所での生活に輪をかけて孤独を迫ってくる。
家船、というのを以前、小さなフリーペーパーで見た。
それは漁師の夫婦が家財道具の一切合切を乗せ込んだただの漁船だったが、船と人間が一体化していた。
夫婦が、あ、と言えば、船体が、うん、と言う信頼関係があった。
この船は4年も動いていないのだそうだけど、今日試運転のために動いてもらったら人間と暮らすより一人で走りそうな雰囲気だった。
困った。また振り出しに戻る。